困難に直面する子どもたちの支援
埼玉県での「子ども第三の居場所」の整備
地域のつながりが希薄になり、家庭の抱える困難が複雑・深刻化する中、すべての子どもが、未来への希望を持ち、生き抜く力を育むための機会と環境を提供します。
食生活や生活リズムの乱れ、学習の遅れ等、日本の子どもたちは今、様々な困難に直面しています。安心して過ごせる居場所がなく、孤立してしまう子どもも少なくありません。
日本財団「子ども第三の居場所」は、家庭や学校以外の場で、信頼できる大人や友達と安心して過ごし、「生き抜く力」を育むための場です。全国100か所以上が設置されていますが、初めて遺贈・相続寄付を活用した施設が埼玉県に完成しました。子どもたちの明るい未来を願って遺産を託して下さったお三方の寄付を活用しました。
この施設には、小学校低学年の対象児童だけでなく、幼児を連れた親やお年寄りも立ち寄れ、地域に開かれた「縁側」のようです。
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養護施設出身者等の進学支援
給付型奨学金「夢の奨学金」
児童養護施設や里親家庭で育った子どもの大学進学率は2割以下と、一般の大学進学率と比べて大幅に低くなっています。平等な機会と夢の実現を後押しする事業です。
日本には、親の死亡や病気、経済的理由などにより、親の下で暮らせない子どもが約4万2千人います(2022年3月時点)。こうした子どもは児童養護施設や里親など「社会的養護」の下で暮らします。しかし、18歳を迎えると、原則社会的養護の対象外となり、独り立ちすることを求められます。その多くが、住居費や生活費を捻出するために就労し、進学を諦めざるを得ません。
「夢の奨学金」は、こうした社会的養護の下で暮らした若者への給付型奨学金です。これまで、4件の遺贈寄付と1件の相続寄付を、勉学の意欲に燃える若者たちの夢の実現に役立てました。
未来を諦めない、その強い意志に応えるために。日本財団は経済面・精神面の両面で自立を応援します。
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発展途上国の教育施設の支援
カンボジアでの体育館建設
運動設備が限られる子どもたちに、雨や強い日光にも耐える屋根付きの体育館を。海外の厳しい環境にある方を助けたいという遺言者の「思い」を届けたプロジェクトです。
カンボジアの小・中・高校では、体育館や運動場などの設備が十分にありません。家畜が敷地に入り込んだり、一年のおよそ半分を占める雨季の影響で平坦な土地が限られていたりと、子どもの健全な発達を促すための環境が著しく限られているのが実情です。
そこで日本財団は、「日本よりも厳しい状況にある海外の方々の役に立ててもらいたい。」と遺言書に遺されたY様のご遺志を叶えるため、カンボジア西部のコッコン州において、天候に関わらず運動できる屋根付体育館を建設するプロジェクトを立ち上げました。
日本財団「夢の奨学金」の元奨学生が校長を務める2校に設置されるなど、世界中のネットワークを活かし実現されました。完成した体育館には、Y様のお名前が刻まれています。
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難病児とその家族の支援
ファミリーレスパイト事業
国内に20万人以上いるとされる難病児。ご家族もまた、常時欠かせぬ介護など沢山の不安を抱えています。そんな親子がほっと一息つける時間を届ける活動です。
「レスパイト」とは、小休止や息抜きを表す英語です。難病を抱えるお子さん自身はもちろん、付きっきりの介護が必要な親御さんや、自分も甘えたい気持ちを我慢する兄弟姉妹など、家族もまた沢山の不安に向き合っています。ファミリーレスパイト事業は、家族のみんなが、ほっと一息付ける時間を提供するための支援です。
遺贈寄付を活用させて頂き、沖縄県恩納村のレスパイト拠点での滞在支援、ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパン等への家族全員旅行を実現する「ウィッシュ・バケーション」支援を行いました。
ご家族は「非日常」に触れた子どもたちの笑顔を心に刻み、日々向き合う「日常」の尊さに改めて気づくそうです。
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災害大国日本の未来への備え
災害復興支援活動
阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震など、発災直後の被災地の支援や復興、平時の防災対策まで、安心安全な暮らしのために、長年取り組んできた分野です。
日本財団は、毎年のように発生する台風や豪雨・土砂災害から、阪神淡路大震災や東日本大震災などの大地震まで、災害大国日本の安心・安全を支えるための支援活動を長年行ってきました。災害発生時は、専門家をいち早く現地に派遣。自治体やNPOとも連携しながら、現場のニーズに合った支援を届けています。
長年の活動の最大の教訓は、災害対策は起きてからでは遅いということです。大災害が起きたとき、真っ先に動くための支援金を蓄えておく仕組みが必要です。あなたの遺贈・相続寄付も、大切な人や故郷を守るために活用することが可能です。
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発展途上国の衛生環境の支援
ミャンマーでの給水設備・衛生施設の建設
長年にわたる紛争で社会インフラの整備が十分でない地域に、一年中水が利用できる給水設備を。また衛生施設がない学校に、手洗い設備とトイレを寄贈した活動です。
日本では使えて当たり前の給水施設や衛生施設(トイレ等)。ミャンマーでは、それらが利用できない地域や教育施設も少なくありません。
長年にわたる紛争で社会インフラの整備が遅れているミャンマー・カレン州においては、井戸を掘削し大型のタンクに貯水、村人たちが一年を通して安定的に水が利用できる環境を実現しました。また、シャン州にある8つの学校に、手洗い設備とトイレを寄贈しました。
これらのプロジェクトは、太平洋戦争時にビルマ(現ミャンマー)戦線に陸軍として従軍した経験をお持ちの方や、従軍されたお父様のご遺志を継ぐご家族からの寄付によって行われました。
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失われた日常の回復を支援
犯罪被害者等に対する緊急支援
犯罪に遭った時、転居や通院を余儀なくされるなど、被害者は予期せぬ経済的負担を強いられることがあります。被害直後に緊急支援が提供される社会を目指す活動です。
ある日突然、犯罪の被害に遭ったことで、突然必要になる出費。交通費や転居費、医療費、葬祭費まで、被害直後の負担をも迅速に支援するため、緊急支援給付金の創設を支援しています。本支援の実施のため、遺贈寄付を活用させて頂き実施しました。
国には「犯罪被害給付制度」がありますが、対象が限定的で支援が一番必要な時期である被害直後に間に合っていないのが現状です。今回の給付金は、申請受け付け当日には振り込みが可能なほどの迅速な支援が特徴です。
給付金の受給者からの手紙の一つには、「生活していくお金が途絶えそうになる中、いただいた給付金はすごく助かりました。(中略)本当にこの度はありがとうございました。」と記されていました。
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自分らしく生きる社会基盤作り
在宅看取りを実践できる訪問看護師の育成
日本では多くの人が在宅看取りを希望するも、現実には病院で亡くなる方が7割に及びます。在宅看取りを選べる社会へ、専門性を持つ訪問看護師を育成します。
日本では約8割が在宅での看取りを希望しているといわれていますが、現状では7割の方が病院で亡くなっています。
最期まで住み慣れた自宅で過ごしたい…。その願いを支えるのが訪問看護師です。しかし在宅看取りには、療養者やその家族への対応、介護職など多職種との連携など、高度なスキルが必要で、担い手の育成が課題です。そこで、在宅看取り経験のある訪問看護認定看護師を講師とし、教科書や通常の研修では得られない知識を伝える研修会の開催を支援しました。
この研修会は、日本財団に相続寄付を下さった方とともに、お母様のご遺志を形にしたものです。
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若年者の相談対応・緊急保護
孤立・困窮する若年女性に対する支援
コロナ禍の影響で、孤立・困窮を抱え相談に訪れる若年女性が増加。緊急相談への対応や、必要に応じた保護、宿泊支援、病院・警察・児童相談所への同行支援等を行う事業です。
自ら声を上げられない若年女性・少女らが抱える生活の困窮、家庭不和や家庭内暴力、性被害などに緊急対応するための窓口を設け、必要に応じて適切な支援を提供する活動を支援しています。
東京都新宿区の相談スペースでは、虐待や性暴力被害、コロナ禍による生活困窮などを抱える10代の女性が気軽に相談をでき、体と心を休めたり、必要な支援物品を受け取れる場が設けられています。
2021年度には、1,600人超の相談者に対し延べ 8,500回以上の具体的支援が行われました。こうした支援活動で見えてきた実体や課題をもとに、政策提言にも繋げる予定です。
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コロナ禍における子どもの教育支援
高校生向けオンラインスクール事業
新型コロナウイルス対策の一斉休校による教育提供体制に対する不安を、教育機会の転換点と捉え、高校生のネットワークを広げるオンラインスクールを提供した活動です。
二度とない青春時代に休校が続き、コロナ禍は高校生たちを大きく揺さぶりました。その一方、コロナ禍は教育のデジタル化や、自分らしい生き方を実現するための力を育てるキャリア化への転機でもありました。
そこで、子どもへの支援を希望された方からの遺贈寄付を活用し、社会人イノベーターや一流アスリートを講師に迎え、「みらいラボ」というオンラインスクールを開設。年間300回以上の授業を実施し、延べ約16万人が視聴しました。
参加した高校生からは、「自分のやりたいことが見つかり、これからが明るくなりました」など、自ら未来を切り開く可能性に気づいた声が多く寄せられました。
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